もちろん鞭は好きですし、自分の匂いや排泄物で相手の頭や身体を満たしていくのも、たくさん感じさせて、あるいは甘い苦痛の中で、あちらの世界へ連れていくことも大好きです。ですが、一番好きなのは「その人を自分のものにする」ということ。どの行為もその過程にあるものなのですよね。

段々と従順になっていくマゾを見ていると、『星の王子様』に出てくるキツネのことを思い出すことがあります。とても有名な作品だし、このキツネも人気があるので、皆さんもご存知かもしれませんね。ある小さな星から王子さまは地球にやってくるのですが、そこで様々な人や動物に出会います。キツネはある日とても悲しい気持ちでいた王子様の前に現れます。

「君はだれ？とてもきれいだね」と、王子さまは言いました。
「僕はキツネ」とキツネが答えました。
「こっちへ来て、僕と遊ぼうよ」王子さまがキツネに提案しました。「僕、とっても悲しい気持ちなんだ…」
「だめだよ。君とは遊べない」キツネが言いました。「僕は君に飼いならされていないもの」

この「飼いならす」という言葉、引っかかりませんか？私はこの王子さまとキツネの関係にSM的というか、DS的なものを読み取れる気がしています。キツネは「飼いならす」という言葉の意味は「関係を作る」と言うことで、それは何処にでもいるありふれた存在の誰かをかけがえのない存在に変えることなのだと語ります。セッションは私にとってはそういうもの。そして、誰かを「飼いならす」方法は一つではありません。


「おねがい、僕を飼いならしてよ！」

カウンセリングの段階で自分のしてほしいことを伝えるのは失礼に当たるのではないかと考える方がいますが、カウンセリングはリクエストとは少し違います。ただ貴方のことを知りたくて聞いているだけ。なぜならそれは、貴方を私の色に染めていくための強力な武器になるから。好きなことや興味のあること、そして苦手だと感じていることを教えてほしいのです。そして、もしわからないなら素直にそう伝えてください。一緒に探っていきましょう。

相手に合わせることはドミナントらしくないと考える方もいるかもしれませんが、私としては合わせているつもりすらないのです。飴も鞭も、私の目指す支配の過程にあるもの。そのためには手段も選ばないし、多少の労苦もいとわない、私にとっての調教とはそういうものなのです。